ミツバチは日の出とともに
花から花へと飛びまわり蜜を集めます。
そして夜は一生懸命に羽で仰ぎ風を送り、蜜を完熟させ、糖度80度以上になると最後に蜜蓋(ミツブタ)で蓋をして貯蔵するのです。この間、10日間ほどの時間を要します。
現代では、生産性向上のために 完熟を待たずに採蜜をする手法が 多く取られています。
そうすることで採蜜量が格段に上がり、また蜜蓋を外す手間を省く事ができるのです。しかし、完熟前のはちみつは、水分を多く含み糖度が低い状態です。 製造過程で高温加熱処理をすることで水分を飛ばし糖度を高める手法になります。
栄養面で見ても酵素が失活してしまい、本来の豊富な栄養を受け取ることができなくなってしまうのです。
ジアスターゼ活性値の数値は、酵素が熱に弱いことを利用した加熱履歴の指標となります。 はちみつは加熱し過ぎると、本来の風味や栄養素が失われてしまうため、数値が高いものほど、加熱されていない本物のはちみつと言えます。
「これらの条件を満たした場所を見つけるのは、
非常に困難で多くの時間を要しました。」
※キルギスタンにほど近い、中国は黄河上流のさらに北。ゴビ砂漠とタクラマカン砂漠の狭間に、ヨーロッパとアジアを結ぶように山岳オアシスとして、天山山脈があります。日本からは飛行機で上海か北京を経由し、新疆ウイグル自治区のウルムチまで飛び、ウルムチから小型の飛行機でイーニンへ行きます。更にオフロード車で陸路を10時間。日本からは3日とかかる、まさに秘境の地!
ですので、天山山脈の存在を知った時、思わず「見つけたーー!」と声をあげた事は懐かしい思い出です。実は意外にも思われるかもしれませんが、天山山脈で採れる全ての蜂蜜が、完全完熟・完全非加熱生はちみつというわけではありません。
ミツバチが巣に蜜蓋(ミツロウ)をするまで、じっくり待って取り出した完熟はちみつは、濃度が高く、硬さを持っているため、機械での採取ができません。そのため、一つひとつ非常に手間のかかる手作業ではちみつの採取を行っております。天山にも押し寄せる近代養蜂により、年々完熟はちみつを採取する養蜂家は減少してきているのです。
「天山の養蜂家を一軒一軒を訪ねました。」
しかし私は、天山の養蜂家を一軒一軒を訪ね、完全完熟・完全非加熱でなければならない理由を説明し、一括のフェアトレードを実施する事で、森羅万象のクオリティを維持しています。
非加熱のはちみつは市場でもよく見かけますが、非加熱×完熟というはちみつは非常に稀です。
毎年非常に少量しか確保することができませんが、まさに天山山脈という稀な環境と人による地味な作業により、決して大手には真似できないはちみつの品質を維持しているのです。